文化人が集り築き上げた軽井沢。そこに点在する美術館は自然に溶け込み、近代美術から現代美術、建築物から絵画まで幅広いジャンルのアートを楽しめます。駅から離れた場所にある美術館も多いのでレンタサイクルやレンタカーを利用して美術館巡りを楽しんでください。
セゾン現代美術館
軽井沢に移転する前は東京都港区にある高輪プリンスホテルにあったセゾン現代美術館。西武グループの創業者堤康次郎のコレクションを保存、一般公開する目的に「高輪美術館」として開館しました。父、康次郎の美術への愛を受け継いだ堤清二は、まだ認知度の低かった現代美術や、ソ連や中国の芸術文化だけではなく、複数の美術館やホールを開設し現代音楽や舞台美術を積極的に取り上げ、世間に衝撃を与えました。
膨大な美術コレクションを保存・展示するために、西武グループが開発した別荘地と千ヶ滝温泉がある軽井沢の千ヶ滝に移転。名を「セゾン現代美術館」と改め1981年にオープンしました。千ヶ滝温泉入り口を車で1分ほど(徒歩約7分)行くと鬱蒼と生い茂る森の中から突然現れるこの美術館は目立つ看板もないので見過ごさないよう要注意。入り口目の前にある駐車場に車を停めると江戸時代に開発された農業用貯水池「里池」があります。近所の方でしょうか。筆者が訪れた際には餌付けされているようで近づくと人懐こく寄ってくるカモが数羽泳いでいました。
庭園までのアプローチ
駐車場から道路を渡ると、そこには重厚で赤錆が印象的なフェンスと一体型のゲート(若林奮の作品)が訪問客を出迎えてくれます。ゲートからのアプローチはなだらかな下り坂になっていて左側にはよく手入れされた青々とした苔が、右側は目線の高さの生垣が美術館への視線を遮ります。アプローチの終わりでは、突然視界いっぱいに樹木とアートが見事に融合した庭園が飛び込んできます。敷地面責は7,500坪もの広さ。敷地内を流れる清流とそのせせらぎが耳を愉しませてくれ、清流に沿って庭園散策をしてから美術館に訪れるのがベストだと感じました。
自然と一体化するアート
庭園を時計回りに歩を進めると、日光を遮られ日陰でひっそりと佇む作品や、逆に、太陽の光を全身に浴びるオブジェが点々と配置されています。山本正道氏の「風の音」や吾妻兼治郎の「YU-6」、イサム・ノグチの「雨の山」など庭園と融和するオブジェの数々が、経年によって自然と同化し、時を刻むのを止めてしまったような形で常設展示されています。
美術館に入館する前に、安田侃の「天沐・天聖」を”覗く”のが定番コース。フレームのようなオブジェ越しに美術館を眺めることができ、天気がよければ、そのまた向こうに浅間山を見ることができます。
500点におよぶコレクション
主なコレクションにはワシリー・カンディンスキー、ジョアン・ミロなどの美術界の礎をきずいた数々の名匠や、アンディ・ウォーホル、ジャクソン・ポロック、ジャスパー・ジョーンズといった欧米現代美術、堂本尚郎や横尾忠則といった著名な日本現代美術家の作品も常設されています。鑑賞後は併設されている「カフェ・ヤマアラシ」で休憩したいもの。テラス席から庭園を眺めながら、四川料理のお店をされていたシェフが作る本格四川麻婆や、ホットサンドなどの軽食、手作りアップルパイが提供されています。
セゾン現代美術館の住所・お問合せ先
住所 | 〒389-0111 長野県北佐久郡軽井沢町長倉芹ヶ沢2140 |
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電話番号 | 0267-46-2020 |
営業時間 | 10:00~18:00 (4月〜10月)、10:00~17:00 (11月) 最終入館は閉館30分前まで |
定休日 | 木曜日(祝日は開館、8月無休) |
入館料 | 一般1500円(1400円)、大高生1000円(900円)、
中小生500円(400円) *()内は団体20名以上の料金 |
ウェブサイト | https://www.smma.or.jp/ |
セゾン現代美術館の地図
軽井沢ニューアートミュージアム
軽井沢駅を背に旧軽井沢銀座へと徒歩約10分。右手に総ガラス張りでカラマツ林をイメージした白い柱が特徴的な建物が見えてきます。軽井沢ニューアートミュージアムの2階にある6つの展示室では、年3〜4回、国内外の美術ファンの高い期待に応えられる企画展開催されを目指すとのこと。1階のギャラリー/フリースペースでは国内外で評価を受ける前衛的な日本美術家を中心に、1ヶ月のスパンで企画展を開催しています。美術散策がひと段落したら併設されているレストランやショップに立ち寄るのはいかがでしょう。
軽井沢ニューアートミュージアムを設計したのは建築家の西森陸雄。 また、建築家の隈研吾と現代美術作家のジャン=ミシェルオトニエルのコラボレーションによって生まれたウェディング用チャペル「風通る白樺と苔の森」ではガラスと白樺の林、芝生、そして結婚するふたりの結びつきが強くなるようにという願いが込められたジャン=ミシェルオトニエルのオブジェ「こころの門」が一体となり、新郎新婦と参列者を迎え入れてくれます。
セゾン現代美術館の住所・お問合せ先
住所 | 〒389-0102 長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢1151-5 |
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電話番号 | 0267-46-8691 |
営業時間 | 4月~6月、10月~3月 10:00~17:00 最終入館16:30 7月~9月 10:00~18:00 最終入館17:30 |
定休日 | 火曜(祝日の場合翌日)、年末年始 ※8月は無休 |
入館料 | 一般1500円、大高生1200円、小中生700円、65歳以上1200円、小学生未満無料 |
ウェブサイト | http://knam.jp/ |
軽井沢ニューアートミュージアムの地図
軽井沢現代美術館
東京都神田で海画廊(うみがろう)を主宰する谷川憲正によって開館したこの美術館は、「海画廊」という名の通り、海を渡り海外で活躍している彫刻家、版画家、建築家といった幅広いジャンルの現代美術を展示しています。中軽井沢駅から車で約5分、軽井沢駅からは車で約10分の好立地にあるこの美術館は深林に囲まれたJRの保養施設を改築して2008年夏、開館しました。
一階には常設展示室があり、二階には企画展示室があり、収蔵されている作品はどれもユニークなものばかりです。ロープにぶら下がりながら足で描くという白髪一雄や米国グッゲンハイム美術館で日本人で初めて個展を開催した荒川修作、新進気鋭の芸術家草間彌生や奈良美智、今をときめくドイツ在住アーチストのロッカクアヤコなど、多種多彩な作品が楽しめます。また、2階ギャラリーでは版画や絵画、ポスターなどを販売しています。
軽井沢現代美術館の住所・お問合せ先
住所 | 〒389-0111長野県北佐久郡軽井沢町大字長倉2052-2 |
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電話番号 | 0267-46-2020 |
営業時間 | 10:00~17:00 |
定休日 | 火曜日・水曜日(GW及び、夏期は無休開館) *11月下旬~4月中旬は冬期休館 |
入館料 | 一般1,000円、65歳以上&大高生 800円、中小生500円、未就学児 無料 *入館料にはお茶のサービスが含まれています *障害者手帳をお持ちの方はご本人と付添いの方1名まで無料 |
ウェブサイト | http://moca-karuizawa.jp |