軽井沢駅そば おぎのや(荻野屋)
軽井沢にあるおぎのやさんは釜飯屋としての方が有名かもしれません。軽井沢町内唯一の立ち食いそば店で、軽井沢駅構内のお土産屋さんの並びにあります。釜飯はしなの鉄道や新幹線で食べるために買い求めるお客さんが、お蕎麦やうどんは電車を待つ間に食べる方が多いです。
営業時間は朝9時45分からと他の立ち食いそば店と比べると遅く開店するので朝食の時間には間に合いません。店内は狭く、席はありません。店の中は5〜6人ぐらいで精一杯、外は4人ぐらいが食べられるカウンターがあります。
店に入るとすぐに券売機があり、以下のようなラインアップとなっています。
- かけそば・かけうどん 450円
- 山菜そば・山菜うどん 550円
- 玉子そば・玉子うどん 550円
- かき揚げ天ぷらそば・うどん 600円
- 舞茸天 250円
- かき揚げ 150円
- 鶏肉天 150円
- ちくわ天 150円
- あおさ 150円
- 山菜 100円
- 玉子 100円
- ねぎ 100円
- 天かす 100円
- *2024年8月16日現在の値段です
麺は弾力があり細め。そばの風味はそこまで感じられません。つゆは甘めではあるものの醤油味が濃くはなく、良くも悪くも個性を感じないものになっています。軽井沢駅周辺の飲食店は観光シーズンには営業しているものの、それ以外は不定期で休業しているお店も多いので、新幹線の発着時刻に近い時間を除き、空いているおぎのやは、軽井沢と都心を行き来する旅行者の心の拠り所となっています。
注文してから茹でるので「3分ほどお時間をいただきます」と言われます。
夏限定メニューのそば・うどんメニュー
通常は冷やしそばは提供していないのですが、2022年8月には冷やし山菜そばを販売していました。軽井沢でも暑い夏には冷たい麺類の需要はあるので、来年以降も販売されることを大いに期待しています。
駅そば発祥の地 軽井沢駅
店舗リニューアル前には「駅そば発祥の地 軽井沢駅」と題したポスターが壁にかけてありました。
老舗のこだわり。麺につゆに看板に
長野新幹線、しなの鉄道・軽井沢駅
かつては横川駅で碓氷峠越え用の専用機関車を接続し、ノロノロと「心臓破りの坂」を登ってやっと辿り着いた、軽井沢駅。ご存知の通り、信越本線は長野新幹線の開通に伴って横川〜軽井沢駅間が廃止となり、また軽井沢〜篠ノ井間も第三セクターのしなの鉄道に経営移管されました。そのため、首都圏から軽井沢まで在来線だけでいくのが非常に困難になりました。一方、新幹線は高崎〜軽井沢間を二十分ほどで結んでいますので、所要時間は一気に短縮されました。
軽井沢から連想するのは、人気の駅弁『峠の釜飯』で有名な『おぎのや』です。『おぎのや』はもともとは碓氷峠の麓・横川駅の駅弁業者ですが、長野県側にも多くの店舗を出しています。駅そばでは、軽井沢駅と上田駅*にお店があります。私は横川駅と、NRE(日本レストランエンタプライズ)と提携して出展している安中榛名駅を含め、すべての店舗で食べたことがあります。その中で一番印象の深かった軽井沢駅の店舗を紹介しましょう。
軽井沢駅の駅そば『おぎのや』は、しなの鉄道の改札外、待合室内にあります。JR(新幹線)の場合は改札を出て左の自由通路上にも窓口があり、こちらの方が便利。玉子そばで400円。少々高めの値段設定になっています。
このお店の特徴は、注文後に茹でる生麺と、出汁とかえしを別々に用意したつゆ。注文後に茹でると時間がかかってしまうのですが、奥羽本線(おううほんせん)・村山駅の駅そば店よりも細い麺ですから、調理時間は三分ほど。ザラザラと舌に触れる食感、噛んだときにプツッと音を立てて切れるコシ、最高品質です。つゆも美味しい。出汁は鰹節をたっぷり使っているのが一口で分かる味。出汁とかえしを別々に用意しているからでしょうか、鰹出汁の香りが濃厚で、ついついつゆを最後まで飲んでしまいます。つゆのおかわりが欲しくなるほどです。
駅弁業者が出典している駅そばは全国にありますが、『駅そばはついでに営む』というケースが多く、本業ではありません。しかし、そこは明治十八年創業の老舗です。駅そばといえども、少しも手を抜きません。百年を超える歴史を持つ『看板』がこの味を守り、さらに向上させているのかもしれません。『美味い駅弁を扱う業者は、駅そばも美味い傾向がある』と思いたくなる一杯でした。
『駅そば』読本
著者 鈴木 弘毅
味としては可もなく不可もなしの立ち食い蕎麦屋ですが、和のファストフードは軽井沢にはないので今後も重宝したいと思います。